考察:千と千尋の神隠し

【千と千尋の神隠し考察】千尋の禅寺修行説(1)川と橋は世界の境界

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私は、千と千尋の神隠しを「千尋の禅寺修行体験」と考えている。
この考察は、千と千尋の神隠しに隠されたメッセージをひも解いていくものである。

1-1 謎のトンネルは「山門」である

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「山門」とは、お寺の入り口に設置される門である。
山門の根拠は、門の上の方を写した映像にある。

看板のようなものが確認できる

看板のようなものが確認できる

寺院には門に「山号額」というものが設置されている。
山号とはお寺の称号であり、たとえば浅草の浅草寺には「金龍山」という山号が付けられている。

雷門の上に山号額(ウチノメ屋敷 レンズの目より引用)

雷門の上に山号額
(ウチノメ屋敷 レンズの目より引用)

日本では卑弥呼の時代から山に強い信仰があったとみられ、邪馬台国は「山大国」であるという説もある。このように日本人にとって山は特別な存在であることから、称号として山号がつけられたのではないかといわれている。

つまり、最初のトンネルは神々の世界への入り口へ繋がる「標識」であると考えられる。

1-2 豚は愚か者の象徴、いずれ食べられる存在

豚に変化した千尋の両親

豚に変化した千尋の両親

豚は仏教において、飼育され食べられる存在であること、働かずに食べることから怠け者で愚かな存在であるといわれている。

インドの経典「ジャータカ」には働き者の牛である大赤・小赤と、怠け者の豚であるムニカの話に、詳しく書かれている。
また、この経典の牛の大赤は釈迦の前世とされている。

「不公平じゃないか!ねえ、兄さん、そう思わない……?」
ある日、小赤が大赤に言いました。
大赤は小赤に言います。
「おまえね、ムニカはもうすぐ殺されるんだよ。(中略)ご馳走においしい豚肉料理をつくるため、いまムニカを太らせてるんだよ。」

仏教経典「ジャータカ」より引用
仏教法話大事典より孫引

1-3 三途の川と渡し船

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日が暮れると、小さな小川は大きな川になっていた。
これは三途の川だと思われる。

三途の川は、此岸(現世)と彼岸(あの世)を分ける境目にあるとされる。

厳密には三途の川を渡ってもすぐにあの世へいくのではなく、中陰という世界に49日間滞在する。
そのため、中陰の世界とされる町には、黒い影となった霊がうろついている。
資格を持ったものが食べられる「神の世界の食べ物」を食べることで実体化し、次の世界(橋を超えた世界)へ移動できるという設定であると思われる。

まとめると、以下のようになる。

シーン 場所 仏式の世界構造
05 三途の川 此岸(現世)~中陰(霊界)
逝去時に渡る
06 中陰(霊界)
逝去後49日間(満中陰まで)
08 中陰~彼岸(あの世)
49日法要後以降、資格を持ったもののみが渡ることができる

 

以上の仮定に基いて考えると、千尋は生きながらにして死後の世界を体験しているということになる。これは禅寺における修行僧と同様の意味をもっているのではないかと考察する。

寺の修行僧は、世俗と切り離すところから始まる。寺門に入ると携帯電話や財布などは没収され、現世と隔絶された、ある種の「仏の世界での体験」を寺院内で行っていることになる。

まだ千尋の修行の場となる油屋にたどり着いてすらいないが、長くなったので今日はここまで。

 

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