考察:千と千尋の神隠し

【千と千尋の神隠し考察】千尋の禅寺修行説(3)ハレとケ、禊と祓

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私は、千と千尋の神隠しを「千尋の禅寺修行体験」と考えている。
この考察は、千と千尋の神隠しに隠されたメッセージをひも解いていくものである。

ただし、今回は神道の側面から千と千尋の神隠しを検証してみたい。

前記事:【千と千尋の神隠し考察】千尋の禅寺修行説(2)入門の儀式と改名

今回は第2弾、ついに千尋は修行場となる油屋へと向かう。

1 前回のおさらい

  • 湯婆婆の修行許可は禅寺と同じ
  • 禅寺でも名前は1字で呼ばれる

3-1 ハレとケ

よく「ハレの日」という表現を使うことがある。一般的には特別な日を指すことが多い。
ケはあまり聞かない表現であるが、日常的なものを指す。例として、「あさげ(朝餉=朝食)」や「ゆうげ(夕餉=夕食)」など、日々の食事に「ケ」という文字が使われている。

 

「ハレとケ」とは、柳田國男によって見出された、時間論をともなう日本人の伝統的な世界観のひとつ。
民俗学や文化人類学において「ハレとケ」という場合、ハレ(晴れ、霽れ)は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」、ケ(褻)は普段の生活である「日常」を表している。

Wikipedia

 

日常生活を続けるうちに「気(ケ)が枯れる(=気枯れ)」が転じて「穢れ」となり、穢れを落とす儀式や祭事を非日常を「ハレ」と表現している。

引っ越しで気が枯れた千尋

引っ越しで気が枯れた千尋

千尋は引っ越しの際、「気枯れ」の状態にあった。
そこから油屋での修行(儀礼)を通して「気」を復活させ、また「ケ」の生活に耐えられるようにしたというのがこの物語であると考えられる。

 

3-2 禊と祓

日々の穢れが堆積する(名のある川の主)

日々の穢れが堆積する(名のある川の主)

 

血は代表的な穢れ(赤不浄)

血は代表的な穢れ(赤不浄)

神道において「穢れ(気枯れ)」を回復する方法は、「禊(みそぎ)」と「祓(はらえ)」の2種類がある。

禊(みそぎ) 祓(はらえ)
滝行、水に浸かる、水を被る
(風呂も一種の禊)
祝詞、儀式、人形(ひとがた)
(ヒトガタは人の形に切った紙)

湯を頭から被る千尋

湯を頭から被る千尋

銭婆のヒトガタ

銭婆のヒトガタ

 

神道において、「穢れ」を落とすには禊が最も効果的であるとされている。

名のある川の主は、飯が黒ずんでしまうほどの悪臭があったのにも関わらず、風呂に入った後は臭いという表現がない。また、「人間臭い」と言われた千尋も、この風呂騒動を境に「臭い」と言われなくなった。

食事(ケ)が黒ずむ(枯れる)=穢れ

食事(ケ)が黒ずむ(枯れる)=穢れ

 

日々の掃除も祓(はらえ)のひとつ

日々の掃除も祓(はらえ)のひとつ

 

この油屋の世界においては、穢れはにおいで表現され、油屋の本質は「湯屋」ではなく「禊場」であると考えられる。

 

今回はここまで。

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